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宅建は、受験者のおよそ8割が落ちる試験です。令和7年度は受験者245,462人に対して合格者45,821人、合格率18.7%でした(不動産適正取引推進機構の公表資料)。つまり不合格は珍しいことではまったくなく、合格者の中にも再受験組が相当数いる、という前提で話を始めます。
ただし「来年また頑張ろう」だけで済ませると、たいてい同じ結果になります。去年と同じやり方を1年続けたら、去年と同じ点数が出るからです。この記事では、不合格の直後にやるべき「診断」と、点数帯ごとに変わる打ち手を整理します。講座をすすめる記事ではありません。独学で足りる人には独学を、そうでない人には切り替えを、判断できる材料を並べます。
この記事の内容
1. 最初にやること:正確な点数を確定させる
「たぶん30点くらい」では立て直せません。科目別に何問取れたかまで出して初めて次が決まります。まだ自己採点をしていない、あるいは合計点しか出していないなら、問題用紙と解答を並べて、次の5区分で正答数を数えてください。
| 区分 | 問番号 | 出題数 | 合格者の目安 |
|---|---|---|---|
| 権利関係(民法等) | 問1〜14 | 14問 | 7〜9問 |
| 法令上の制限 | 問15〜22 | 8問 | 5〜6問 |
| 税・その他 | 問23〜25 | 3問 | 2問 |
| 宅建業法 | 問26〜45 | 20問 | 17〜18問 |
| 5問免除科目 | 問46〜50 | 5問 | 3〜4問 |
※ 目安の数値は宅建GYMが合格ラインから逆算した学習上の目標であり、公式に定められたものではありません。合格判定は合計点のみで行われ、科目ごとの足切りはありません。
合格ラインは年度によって動きます。過去の推移は解答速報・自己採点ページの一覧にまとめてあります。「今年は◯点だったから来年も◯点」とは考えないでください。ボーダーは毎年変わるので、狙うべきは「ボーダー+3点」です。
2. 点数別・来年の打ち手
ここがこの記事の本題です。同じ「不合格」でも、必要なことは3つに分かれます。
| A:あと1〜3点 | B:あと5〜10点 | C:それ以上(25点以下) | |
|---|---|---|---|
| 状態の見立て | 知識はほぼ足りている。取りこぼしで落ちた | 穴のある科目が1〜2つある。範囲の抜け | 1周目が終わっていない。学習量そのものが不足 |
| 最優先でやること | 失点の原因分類(次章)。特に個数問題・ひっかけ肢の取りこぼしを潰す | 失点が集中した科目を1科目だけ作り直す。全科目を薄く回さない | 教材を絞り、宅建業法から順に土台を作り直す |
| やらなくていいこと | テキストの買い替え。全範囲の再学習 | 権利関係の深追い(費用対効果が最も悪い) | 過去問12年分などの大量周回(先に理解が要る) |
| 再開の時期 | 年明け〜3月でよい。いま走り出すと10月まで持たない | 1〜2月 | 11〜12月から。量が要るので早く始める |
| 独学 or 講座 | 独学で十分。方法を変えるだけで届く | 独学でも可。ただし2年連続同じ点なら切り替えを検討 | 3回目以降なら切り替えを強く検討 |
→ 宅建 法改正ノート【令和8年度】(Kindle・¥1,400/運営者作成)
3. 「何が足りなかったか」を4つに分解する
失点は、原因によって対処法がまったく違います。答案を見ながら、間違えた問題を次の4つに振り分けてください。ここを飛ばして「勉強時間を増やす」に行くと、また同じところで落ちます。
| 種類 | 見分け方 | 対処 |
|---|---|---|
| ①知識がない | 解説を読んで「初めて見た」と思う | 純粋な学習不足。該当分野をテキストに戻って埋める |
| ②知識はあったのに落とした | 解説を読んで「知ってたのに」と思う | いちばん改善効率が高い。個数問題・ひっかけ肢の処理を訓練する |
| ③時間切れ | 後半の問題で解答が雑、または空欄があった | 解く順番と時間配分の設計。知識の問題ではない |
| ④マークミス・見直し不足 | 選んだつもりの番号と違う/指示(誤っているものを選べ等)の読み違い | 本番の手順を固定する。訓練で直る |
再挑戦組でとくに多いのが②です。宅建は「AとBの2つが正しい、いくつあるか」という個数問題や、数字・主語・期限を1語だけ入れ替えたひっかけ肢が得点差を作ります。ここは知識を増やすのではなく、読み方を変えることで直ります。
- ②が多かった → 個数問題の解き方と宅建業法の「引っかけ肢」総まとめ
- 法令上の制限で①が多かった → 法令上の制限「数字」総まとめ(覚える数字は有限です)
- 問46〜50で落とした → 問46〜50の攻略。範囲が狭いのに手つかずの人が多い、いちばん安い5問です
- ③が多かった → 試験当日の時間配分と解く順番
4. 独学を続けるか、講座に切り替えるか
「落ちたから講座に申し込むべき」とは考えていません。宅建は独学での合格者が多い試験ですし、Aゾーン(あと1〜3点)の人が講座に申し込んでも、支払うのは主に「もともと持っていた知識をもう一度聞く時間」の代金になりがちです。
独学を続けてよい人(3つとも当てはまるなら継続を勧めます)
- 今年、学習計画をおおむね予定どおり消化できた(挫折して止まった期間が長くない)
- 不合格の原因を、上の①〜④で自分で説明できる
- 点数がボーダーの5点以内だった
この3つが揃っている人に足りないのは、お金ではなく方法の微調整です。同じ教材で、②の潰し込みと過去問の解き直しに集中すれば届きます。
講座を検討したほうがよい人
- 2年連続で同じような点数だった(=自力での改善サイクルが回っていない)
- 今年、教材の途中で止まった/計画を立て直せないまま本番を迎えた
- 何を捨てて何を取るかの判断ができない(全範囲を均等にやろうとして時間が尽きた)
- 法改正の反映を自分で追う自信がない
講座の本当の価値は「教えてくれること」より、範囲の取捨選択と進度管理を外注できることにあります。上のどれかに当てはまるなら、そこは自力でいちばん埋めにくい部分なので、費用に見合う可能性が高いです。
費用の考え方も冷静に。受験手数料は8,200円(地方公共団体の手数料の標準に関する政令の標準額。※2026年9月5日にe-Gov法令検索で確認)で、1年延びればこれと1年分の勉強時間が追加でかかります。数万円の講座で1年短縮できるなら合理的ですし、逆に独学で来年届くと踏めるなら払う必要はありません。数十万円のコースが唯一の選択肢ではなく、Web完結で数万円台のものもあります。
また、講座を検討する場合、受験経験者・再受講者だけが使える割引を持つ会社があります(実測ではLECの再受講割引40%OFF、アガルートの再受講割引20%OFFなど)。基礎講義を省いて演習に振った学習経験者向けコースも含め、再受講割引・学習経験者向けコースの6社比較に公式ページの実測値だけでまとめました。
なお、資料請求や無料体験は無料でできるものが多いので、迷っている段階では申し込まずに資料だけ取り寄せるのが安全です。年内は情報収集にとどめ、学習を再開する1〜3月に決める、という順番で十分間に合います。
5. 見落とされがちな選択肢:5問免除(登録講習)
宅建業に従事している人には、点数を直接底上げする制度があります。登録講習です。業法16条3項は、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関の課程を修了した者について「試験の一部を免除する」と定めています。
- 免除されるのは施行規則8条1号・5号に掲げる事項=問46〜50の5問(規則10条の14)
- 有効なのは修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験(同条)
- 対象は宅地建物取引業に従事する者(規則10条の5第1号)。申込みには従業者証明書などが必要になるため、業界外の人は使えません
- 講義時間の合計はおおむね50時間(規則10条の5第3号。一部を通信の方法で行える。※2026年9月5日確認)
効果は数字にも出ています。令和7年度の合格率は全体で18.7%でしたが、登録講習修了者は24.2%でした(出典=不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」・2026年9月5日確認)。5問免除は「45問中28問以上」といった基準に置き換わるだけで楽になるわけではありませんが、範囲が5問分狭くなること自体が大きい。あと1〜3点で落ちた宅建業従事者にとっては、最も費用対効果の高い一手になり得ます。
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」16条3項/同「宅地建物取引業法施行規則」8条・10条の5・10条の14/国土交通省「登録講習の登録講習機関一覧」
6. 来年の年間スケジュール
宅建は毎年ほぼ同じ暦で動きます。試験は原則として10月の第3日曜、合格発表は11月下旬。令和8年度は試験が2026年10月18日(日)、合格発表が2026年11月25日(水)です。この形を前提に、11月スタートで逆算します。
| 時期 | やること | Aゾーン(あと1〜3点) | Cゾーン(大きく足りない) |
|---|---|---|---|
| 11〜12月 | 失点の分解と方針決定。教材・講座の情報収集 | 休んでよい。分析だけ | ここから開始。宅建業法から土台作り |
| 1〜3月 | 学習の再開。基礎の再構築 | 2〜3月に再開。②の潰し込み中心 | 権利関係と法令上の制限を1周 |
| 4〜6月 | 過去問中心に切り替え。6月上旬に官報公告 | 過去問を年度別で回す | 科目別過去問を2周 |
| 7月 | 受験申込み(例年7月1日〜。ネット申込は7月末まで、郵送はより早く締切) | ここを逃すと1年待ちです。申込月だけはカレンダーに入れておく | |
| 8〜9月 | 模試・弱点の埋め戻し。統計対策の資料が出そろう | 年度別過去問+時間配分の訓練 | 宅建業法を17点以上に固める |
| 10月 | 直前期。法改正・統計・数字の最終確認 → 第3日曜に本番 | 直前期2か月の勉強法を参照 | |
「いつから始めるか」は、必要な総学習時間から逆算するのが確実です。宅建GYMでは300〜400時間の内訳を記事にしています。仮に350時間必要で1日1時間しか取れないなら約12か月、1日2時間なら約6か月。Aゾーンの人が11月から毎日やる必要はまったくありませんし、燃え尽きるほうが危険です。逆にCゾーンの人が「5月から始めれば間に合う」と考えるのは、去年と同じ判断です。
7. 再挑戦を決めた人が最初に捨てるべき思い込み
- 「今年は運が悪かった」→ 合格ラインの変動は全員に平等にかかります。ボーダー±2点で落ちたなら、運ではなくマージン設計の不足です。来年は「合格点ちょうど」ではなく「+3点」を目標に置いてください
- 「もっと難しい問題集をやるべき」→ 逆です。宅建の失点の大半は基本論点の取りこぼしで、難問は合否を分けません。過去問を確実にすることが最短です
- 「権利関係を得意にしないと受からない」→ 14問中7〜9問で十分。満点を狙う科目ではありません。同じ時間を宅建業法20問に投じるほうが、点数への変換効率がはるかに高い
- 「自分だけ何度も落ちている」→ 令和7年度の合格者の平均年齢は36.2歳、職業別では不動産業33.2%のほかに他業種27.9%・学生10.9%と幅があります(出典=前掲の令和7年度試験結果の概要・2026年9月5日確認)。働きながら数年かけて取る人は、統計上も普通です
8. まとめ
- まず科目別の正答数を確定させる。合計点だけでは打ち手が決まらない
- 失点を①知識不足/②取りこぼし/③時間切れ/④ミスに分解する。再挑戦組でいちばん多く、いちばん直しやすいのは②
- あと1〜3点なら独学継続で十分。テキストを買い替えるのではなく、解き方を変える
- 2年連続で同じ点/途中で計画が止まったなら、範囲の取捨選択と進度管理を外注する価値がある → 講座の比較ページ
- 宅建業に従事しているなら登録講習(5問免除)を検討する。令和7年度の合格率は全体18.7%に対し修了者24.2%
- 再開は焦らなくてよいが、7月の申込みだけは絶対に逃さない
この記事で参照した一次情報
e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(16条)/ 同「宅地建物取引業法施行規則」(8条・10条・10条の5・10条の14)/ 同「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」(別表61・受験手数料8,200円)/ 不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(受験者245,462人・合格者45,821人・合格率18.7%・登録講習修了者の合格率24.2%・平均年齢36.2歳・職業別構成比)/ 同「試験日程」(令和8年度の申込期間・試験日・合格発表日)/ 国土交通省「登録講習の登録講習機関一覧」
※ 科目別の「合格者の目安」は宅建GYMが合格ラインから逆算した学習目標であり、公式の基準ではありません。試験日程・手数料は変更されることがあるため、申込みの前に必ず試験実施機関の公式ページで確認してください。本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。
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