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宅建の法改正【2026年度】

令和8年度試験で狙われる改正点を、一次情報から出典つきで

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令和8年度(2026年度)の宅建試験には、受験生の多くが古い教材のまま本番に行きかねない改正が1つあります。2026年4月1日に施行された改正区分所有法です。試験の法令基準日がまさに4月1日なので、「ギリギリ間に合った=今年から出題対象」という、いちばん危ないタイミングでの施行になりました。

このページでは、令和8年度試験の対象になる法改正を、法務省・国土交通省・e-Gov法令検索の条文そのものから確認して整理しています。予備校のまとめの引き写しではなく、条文番号と施行日の根拠を並べてあるので、手元のテキストが古いかどうかの判定にも使えます。

まず前提:令和8年度試験の法令基準日

最初に、何が出題対象で何が対象外かの線を引きます。

宅建試験の試験案内には、こう書かれています。

「出題の根拠となる法令は、令和8年4月1日現在施行されているものです。」(一般財団法人不動産適正取引推進機構「令和8年度宅地建物取引士資格試験 試験案内」第3・2(3))

ポイントは「現在施行されている」という言い方です。成立・公布された時点ではなく、4月1日の時点で効力が発生しているかで判定します。したがって、

改正施行日令和8年度試験
書面の電子交付・押印廃止2022年5月18日対象
相続登記の申請義務化2024年4月1日対象
レインズの受付状況の登録2025年1月1日対象
拘禁刑の創設2025年6月1日対象
改正区分所有法2026年4月1日対象(今年から)
2026年5月以降に施行されるもの基準日より後対象外

図1:この記事が扱う5つの改正と、令和8年度試験での扱い。※基準日の出典=不動産適正取引推進機構「令和8年度宅地建物取引士資格試験 試験案内」第3・2(3)(2026年9月時点)。各施行日の根拠は本文の各節に記載しています。

この線引きが、今年は区分所有法でクリティカルに効いてきます。なお、この基準日はあくまで法令の話で、統計の数値には適用されません(統計は問題作成時点の最新値)。混同しやすいので、詳しくは統計問題2026のページを参照してください。

① 改正区分所有法(2026年4月1日施行)★今年の最重要

今年いちばん出題が読みやすいのがここです。まず、何という法律の改正なのかを確認します。

2025年5月23日に成立、5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)による改正です。区分所有法としては約20年ぶりの大改正にあたります。

この法律はマンション関係法をまとめて改正するものですが、施行日が部分ごとに違います。法務省は「このうち、区分所有法及び被災区分所有法の改正に関する部分については、令和8年4月1日から施行されます」と明記しています。宅建で問われるのは主にこの区分所有法部分なので、今年から出題対象と考えてください。

1-1. 集会の議事は「出席者の多数決」になった(39条1項)

いちばん大きく、いちばん出題されやすい変更です。改正前は原則として区分所有者全員を母数にした多数決でしたが、改正後の39条1項はこうなっています。

「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。」(区分所有法39条1項)

背景は、決議に参加しない無関心層の存在で決議が成立しにくいという問題です。法務省の資料には、賛成が全体の2/5しかなく現行法では否決されるケースが、改正後は出席者の2/3の賛成として可決される、という例が挙げられています。

項目改正前改正後(39条1項)
多数決の母数区分所有者の全員出席した区分所有者
欠席者の扱い母数に入る(反対と同じ重み)母数に入らない
書面・代理人での行使出席者に算入(39条2項)
建替え決議全員が母数全員が母数のまま(62条1項)

図2:普通決議の母数がどう変わったか。いちばん下の行だけが「変わっていない」側です。※出典=e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」39条・62条(令和8年4月1日施行の条文)。

あわせて39条2項で、書面または代理人によって議決権を行使した者は「出席した区分所有者」に算入することが明記されました。委任状・議決権行使書を出した人は出席者に数える、ということです。ここは選択肢にしやすいので押さえてください。

1-2. 所在等不明区分所有者を決議の母数から除外できる(38条の2)

新設された制度です。裁判所が、区分所有者を知ることができない、または所在を知ることができないと認めたときは、その者以外の区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができます。この裁判を受けた所在等不明区分所有者は、集会における議決権を有しないことになります(38条の2第2項)。

「所在が分からないから勝手に外してよい」のではなく、裁判所の裁判が必要だという点が答えのポイントになりやすいところです。請求できるのは他の区分所有者または管理者です。

① のつづき:多数決の「割合」が動く場面と、動かない場面

ここからは母数ではなく、必要な賛成の割合の話です。動くところと動かないところを分けて押さえます。

1-3. 共用部分の変更決議が2/3に下がる場合がある(17条)

共用部分の変更(形状・効用の著しい変更を伴うもの)は、原則は従来どおり4分の3以上です。ただし改正後の17条5項で、次の場合は「4分の3」を「3分の2」と読み替えることになりました。

また17条1項には定足数が入りました。区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が出席し、出席者の各4分の3以上の多数で決する、という構造です。滅失した共用部分の復旧決議(61条5項)も同様に、定足数を満たしたうえで出席者の各3分の2以上になっています。

決議必要な割合母数
普通決議(39条1項)過半数出席者
共用部分の変更(17条1項)4分の3出席者(定足数あり)
同・瑕疵の除去/バリアフリー(17条5項)3分の2出席者
復旧決議(61条5項)3分の2出席者
建替え決議(62条1項)5分の4全体
同・62条2項の事由あり4分の3全体

図3:割合と母数の早見表。下2行だけが母数「全体」で、そこが今年の切り分けの中心になります。※出典=e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」17条・39条・61条・62条(令和8年4月1日施行の条文)。

1-4. 建替え決議は原則4/5のまま、一定の事由があれば3/4(62条)

建替え決議の原則は5分の4以上で変わりません。ただし62条2項が新設され、建物が次のいずれかに該当する場合は「5分の4」を「4分の3」と読み替えます。

事由(要旨)
地震に対する安全性の基準に適合していない(耐震性の不足)
火災に対する安全性の基準に適合していない
外壁・外装材等が剝離、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれ
給水・排水その他の配管設備の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
建築物移動等円滑化基準(バリアフリー基準)に適合していない

図4:建替え決議が5分の4から4分の3に下がる5つの事由。※出典=e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」62条2項(令和8年4月1日施行の条文)。各号の基準の詳細は法務大臣が国土交通大臣と協議して定めます。

覚え方としては、「原則は動いていない。下がるのは例外事由があるときだけ」という骨格をまず入れることです。数字だけ覚えて「建替えは3/4になった」と書くと間違いになります。

ひっかけ注意:「すべての決議が出席者の多数決になった」わけではありません。建替え決議など、区分所有権の処分を伴う決議は除かれます。実際、建替え決議の62条1項は「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各5分の4以上」のままで、出席者基準ではなく全体基準です。また特別決議には定足数(過半数の出席)が置かれています。

① の周辺:新しい決議類型と、管理のための新制度

ここから下は、時間が余った人だけで構いません。宅建で問われるとしても1肢です。

宅建は区分所有法から例年1問です。深追いは不要で、1-1と1-2、そして1-4の「原則は変わっていない」まで押さえれば十分に戦えます。

改正論点は、本番の直後にいちばん確かめたくなるところです。区分所有法の1問を旧ルールのまま解いていなかったか——それは試験のその日のうちに答え合わせできます。控えたマークを持って、下のページへ。
自己採点ツールが使えるのは10月18日(日)18:30ごろからです(各社の解答速報が出そろってから正答を反映します)。それより前は正答がまだ入っていませんが、自分のマークを先に入力して保存しておけます。
宅建 解答速報・自己採点【2026年度】
改正点は、読むだけでは定着しません。 宅建GYMの区分所有法の問題は令和8年4月1日現在の条文に更新済みです。 → 宅建GYMで問題を解く(無料)
この改正は、条文の読み違いが特に起きやすいところです。e-Gov の条文本文と1条ずつ突き合わせた確認記事を、noteに無料で公開しています。
宅建の区分所有法、今年だけ全教材が古い
  1. 2022年5月18日:書面の電子交付が可能になり、宅建士の押印義務が廃止されました。
  2. 2024年4月1日:相続登記の申請が義務になりました。
  3. 2025年1月1日:レインズへの取引の申込みの受付状況の登録が義務になりました。
  4. 2025年6月1日:懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されました。
  5. 2026年4月1日:改正区分所有法が施行され、令和8年度の基準日に間に合いました。

図5:出題対象になった順に並べた5つの改正。古いものほど「もう常識」として肢に混ぜられます。※各施行日の出典は本文の各節および末尾の出典欄(2026年9月時点で確認)。

② 拘禁刑の創設(2025年6月1日施行)

刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)により、懲役と禁錮が廃止され「拘禁刑」に一本化されました。施行日は令和7年(2025年)6月1日です。

宅建で効いてくるのは、条文の文言が実際に置き換わった点です。宅地建物取引業法5条1項5号(免許の欠格事由)は、現在こうなっています。

拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者」(宅建業法5条1項5号)

つまり、古いテキストにある「禁錮以上の刑」という表現はもう条文上存在しません。宅建士の登録の欠格事由(18条)や罰則も同様に読み替えられています。

実質的なルールは変わっていないので、対策は用語の置き換えだけです。「禁錮以上の刑に処せられ…」という選択肢が出たら、それだけを理由に誤りと即断するのは危険(趣旨として正しい場合がある)ですが、正しい肢は「拘禁刑以上の刑」で書かれると考えておきましょう。罰金刑の扱い(宅建業法違反、傷害罪・暴行罪など一定の犯罪による罰金は欠格)は従来どおりです。

③ 相続登記の申請義務化(2024年4月1日施行)

すでに2年以上前の改正ですが、権利関係で繰り返し狙われるテーマなのでここで確認します。法務省の整理は次のとおりです。

論点内容
施行日令和6年(2024年)4月1日
申請期限不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内
制裁正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(裁判所が決定。出典=法務省民事局)
施行前の相続適用される。施行日前に相続を知っていたものは令和9年3月31日までに登記
相続人申告登記期限内に「自分が登記簿上の所有者の相続人である」旨を登記官に申し出れば義務を履行したことになる簡易な制度。特定の相続人が単独で申し出できる

図6:相続登記の申請義務化の要点。起算点が「相続開始日」ではなく「知った日」である点が繰り返し狙われます。※出典=法務省民事局「相続登記の申請義務化について」(2026年9月時点で確認)。

狙われるのは「施行前の相続には適用されない」という誤り肢と、期限の起算点です。起算点は「相続が開始した日」ではなく「知った日」であることに注意してください。また相続人申告登記は便利な制度ですが、遺産分割がされた後にその内容の登記をする義務は、相続人申告登記では履行できません。ここまで押さえると1問取り切れます。

④ レインズへの取引状況の登録義務化(2025年1月1日施行)

ここは実務の「囲い込み」対策がそのまま条文になった改正です。

宅地建物取引業法施行規則の改正により、令和7年(2025年)1月1日から、媒介契約に基づき指定流通機構(レインズ)に登録した物件について、「取引の申込みの受付状況」の登録が義務づけられました。いわゆる「囲い込み」対策です。

実務では「公開中/商談中/申込あり」といったステータス管理と呼ばれています。登録内容が事実と異なる場合は、宅建業法65条1項の指示処分の対象になり得るとされています。

媒介契約まわりは他の論点とセットで問われるので、次の整理で覚えておくと安全です。

⑤ 書面の電子交付と押印廃止(2022年5月18日施行)

デジタル社会形成整備法にともなう宅建業法の改正で、令和4年(2022年)5月18日から、相手方等の承諾を得れば、書面を電磁的方法で提供できるようになりました。対象は35条書面(重要事項説明書)・37条書面・媒介契約書面などです。同時に宅建士の押印義務は廃止されました。

条文で確認しておきたいのは次の3点です。

項目いま条文
宅建士の押印廃止された35条・37条
宅建士の記名残っている35条5項
電子提供に相手方の承諾必要35条8項・9項ほか
業者間での35条の説明不要35条6項の読み替え
業者間での書面の交付必要35条6項・7項

図7:電子化で「消えたもの」と「残ったもの」。消えたのは押印と、業者間の説明だけです。※出典=e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」35条・37条(2026年9月時点で施行中の条文)。

ひっかけ注意:「押印が廃止されたので記名も不要」「業者間なら書面の交付も不要」はいずれも誤りです。押印だけが消えた、業者間で消えたのは説明だけ——この2つの切り分けが問われます。

法改正はいつ・どこまでやるか

法改正だけを早い時期に単独で勉強するのは効率が悪いです。母体の分野を理解していないと、何がどう変わったのかが頭に入らないからです。おすすめは次の順序です。

残り期間の配分に迷っている人は、直前期2か月の勉強法で優先順位を確認してください。改正論点は配点で言えば多くて1〜2点です(※過去の出題傾向からの見立てで、出題数が公表されているわけではありません)。業法20点を固めるほうが先である、という原則は変わりません。

改正前の条文と並べて確認したい人向けに、Kindleにまとめてあります(¥1,400)。当サイトの運営者が作成した教材で、e-Gov法令検索の法令APIから「令和8年4月1日時点で施行されている条文」と「令和8年3月31日時点の条文」を取り分け、【旧】【新】を並べて載せています。このページで扱った改正に、民法の債権関係・物権関係の改正を加えた範囲です。章末に一問一答があります。
宅建 法改正ノート【令和8年度】(Kindle・¥1,400/運営者作成)

独学で改正のフォローに不安があるなら、法改正と統計をまとめた直前対策講座を単発で使う手もあります。各社の内容と費用は下のページで比較しています。

10月18日(日)の本試験が終わったら、その日のうちに自己採点を。各社の解答速報リンクと、問1〜50をタップするだけで採点できるツールを1ページにまとめてあります(登録不要・無料)。採点ツールに正答が入るのは18:30ごろで、それより前でも自分のマークは入力・保存できます。
宅建 解答速報・自己採点【2026年度】

まとめ

次の1アクション

今日は図3の早見表だけを覚えてください。母数が「出席者」か「全体」かを言えるようになると、区分所有法の1問はかなり安全になります。 → 権利関係の一問一答で確かめる(無料)

出典

・法務省「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について」(法務省民事局)。令和7年法律第47号、令和7年5月23日成立・同月30日公布。区分所有法および被災区分所有法の改正部分は令和8年4月1日施行。
・法務省民事局「区分所有法・被災区分所有法の改正について」(令和8年4月)および「改正の概要(全体・概要版)」。
・建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)17条・35条・38条の2・39条・61条・62条(e-Gov法令検索)。
・宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)5条・34条の2・35条・37条(e-Gov法令検索)。
・刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)。拘禁刑の創設は令和5年政令第318号により令和7年6月1日施行。関係法律の整理は令和4年法律第68号。
・法務省「相続登記の申請義務化について」(法務省民事局)、「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」()。
・国土交通省「不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。〜宅地建物取引業法施行規則の一部改正等を行いました〜」(報道発表資料)。令和4年4月27日公布、同年5月18日施行。
・国土交通省不動産・建設経済局不動産業課「レインズの機能強化と省令及び『解釈・運用の考え方』改正について」(令和6年12月24日事務連絡)。令和7年1月1日施行。
・一般財団法人不動産適正取引推進機構「令和8年度宅地建物取引士資格試験 試験案内」第3・2(3)(宅建試験の概要)。この記事の内容は2026年9月時点で確認しています。

最終更新:2026年8月13日/記載内容は上記一次情報にあたって確認しています。追加の改正・訂正があれば更新します。

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