宅建(宅地建物取引士)試験の権利関係でほぼ毎年出る抵当権(民法369条〜398条)だけを、○×24問の一問一答に絞ったページです。効力の及ぶ範囲・順位と登記・物上代位・代価弁済と抵当権消滅請求・法定地上権・一括競売・引渡猶予6か月まで、条文ごとに「誰が動くのか」を確かめられます。○か×を選ぶとその場で正誤と根拠条文つきの解説が出て、自動では進みません。無料・登録不要。
一問一答をはじめる(24問)
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まずここ:第三取得者がとれる3つの手段
抵当権がついた不動産を買った人(第三取得者)が、抵当権を外すか競売に備えるための手段は3つあります。どちらから動くのかと誰ができないのかの2点が本試験の狙いどころです。
※ 表は横にスワイプできます(右端に根拠条文)
| 手段 | 誰から動くか | 効果・注意点 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 代価弁済 | 抵当権者が請求 | 請求に応じて代価を弁済すると、その第三者のために抵当権が消滅。所有権のほか地上権を買い受けた者も対象 | 378条 |
| 抵当権 消滅請求 | 第三取得者が請求 | 登記をした各債権者に書面を送付。主たる債務者・保証人・その承継人はできない/停止条件の成否未定の間もできない | 379条 380条・381条 383条 |
| 競売で 買い受ける | 第三取得者 | 自ら買受人になれる(明文)。必要費・有益費は代価から優先して償還を受けられる(391条) | 390条 |
覚え方:「代価弁済は抵当権者から、消滅請求は買主から」。主語が逆になっている選択肢が定番です。あわせて「債務者・保証人は消滅請求できない」(380条)は、そのまま1点になるので丸暗記してください。
土地と建物のどちらの話か(法定地上権・一括競売・引渡猶予)
抵当権は土地と建物が別の不動産であることを前提に組み立てられています。どの条文が土地の話でどれが建物の話かを取り違えると、まとめて失点します。
| 制度 | 成立する場面 | 結論 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 効力の及ぶ範囲 | 土地に抵当権を設定 | その土地上の建物には及ばない(付加一体物には及ぶ) | 370条 |
| 法定地上権 | 設定時に土地・建物が同一所有者で、実行により所有者が分かれた | 建物のために地上権が設定されたとみなす。地代は当事者の請求により裁判所が定める | 388条 |
| 一括競売 | 更地に抵当権を設定した後に建物が築造された | 土地とともに建物も競売できるが、優先権は土地の代価のみ | 389条 |
| 引渡猶予 | 抵当権に対抗できない賃貸借で建物を使用 | 買受けの時から6か月は引き渡さなくてよい(土地には適用なし) | 395条 |
| 賃貸借の対抗 | 登記した賃貸借+先順位の全抵当権者の同意+同意の登記 | 同意した抵当権者に対抗できる | 387条 |
抵当権はどこが問われるか
全24問リスト(答え・根拠条文つき)
上のトレーニングと同じ24問です。答えを隠したまま読み下したいときや、通勤中に眺めて復習したいときはこちらから。解説の条文は令和8年度試験の基準日(2026年4月1日現在施行)の民法を e-Gov 法令検索で確認しています。
抵当権は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利である。
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○ 正しい「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」(民法369条1項)。占有を移さない点が質権との違い。
地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。
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○ 正しい「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」(民法369条2項)。抵当権の目的は不動産の所有権だけではない。なお賃借権は含まれない。
抵当権の効力は、抵当地の上に存する建物にも及ぶ。
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× 誤り「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産……に付加して一体となっている物に及ぶ」(民法370条本文)。土地と建物は別個の不動産なので、土地に設定した抵当権の効力は建物には及ばない。
抵当権の効力は、原則として、抵当不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
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○ 正しい370条本文は、抵当権が「付加して一体となっている物に及ぶ」と定めている。ただし、設定行為に別段の定めがある場合と、債務者の行為が詐害行為取消請求の対象となる場合は例外(同条ただし書)。
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
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○ 正しい「抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ」(民法371条)。不履行前の賃料には及ばない。
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、設定契約の前後による。
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× 誤り「同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による」(民法373条)。契約日ではなく登記の先後で決まる。
抵当権の順位は各抵当権者の合意によって変更することができるが、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
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○ 正しい「抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない」(民法374条1項)。抵当権設定者(所有者)や債務者の同意は不要。
抵当権の順位の変更は、当事者の合意のみで効力を生じ、登記は対抗要件にすぎない。
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× 誤り「前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない」(民法374条2項)。登記は対抗要件ではなく効力発生要件。ここが定番の引っかけ。
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、原則として、満期となった最後の2年分についてのみ抵当権を行使することができる。
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○ 正しい「抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる」(民法375条1項本文)。後順位抵当権者などを保護するための制限。
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる。
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○ 正しい「抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」(民法376条1項)。前者が転抵当。
抵当権者は、抵当不動産の売却・賃貸・滅失等によって債務者が受けるべき金銭に対しても抵当権を行使することができるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
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○ 正しい民法372条が304条(物上代位)を準用している。304条1項ただし書は「先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」と定める。差押えが遅れると行使できない。
抵当不動産について所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。
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○ 正しい「抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する」(民法378条=代価弁済)。動くのは抵当権者の側。
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができる。
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○ 正しい「抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる」(民法379条)。代価弁済とは逆に、第三取得者の側から動く手段。
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人も、抵当不動産を取得すれば抵当権消滅請求をすることができる。
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× 誤り「主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない」(民法380条)。全額を弁済すべき立場の者が、一部の代価で抵当権を消せるのはおかしいため。
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間も、抵当権消滅請求をすることができる。
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× 誤り「抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない」(民法381条)。所有者になるか未確定の段階では請求できない。
抵当権消滅請求をする第三取得者が登記をした各債権者に送付する書面には、債権者が2か月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、記載した代価等を弁済し又は供託すべき旨を記載しなければならない。
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○ 正しい「債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が……代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面」(民法383条3号)。
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなされる。
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○ 正しい「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす」(民法388条前段=法定地上権)。
法定地上権が成立する場合の地代について当事者間で協議が調わないときは、裁判所がこれを定めることはできない。
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× 誤り「この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める」(民法388条後段)。協議が調わなくても、当事者の請求があれば裁判所が地代を決める。
抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は原則として土地とともにその建物を競売することができるが、優先弁済を受けられるのは土地の代価についてのみである。
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○ 正しい「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる」(民法389条1項=一括競売)。ただし、その建物の所有者が抵当地を占有することを抵当権者に対抗できる権利を有する場合には、一括競売はできない(同条2項)。
抵当不動産の第三取得者は、その抵当不動産の競売において買受人となることができない。
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× 誤り「抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる」(民法390条)。第三取得者が自ら買い受けて所有権を確保する道が明文で認められている。
抵当権者に対抗することができない賃貸借により競売の目的である建物を使用又は収益をする者のうち、競売手続の開始前から使用又は収益をしていた者は、買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
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○ 正しい「……その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」(民法395条1項=抵当建物使用者の引渡しの猶予)。猶予されるのは同項各号の者に限られ、1号が「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」。建物のみの制度で、土地には適用がない。
登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
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○ 正しい「登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる」(民法387条1項)。一部の抵当権者の同意では足りない。
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
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○ 正しい「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない」(民法396条)。裏を返せば、第三取得者などに対しては抵当権だけが単独で時効消滅しうる。
地上権を抵当権の目的とした地上権者は、その地上権を放棄すれば、これをもって抵当権者に対抗することができる。
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× 誤り「地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない」(民法398条)。放棄によって抵当権者の担保を失わせることはできない。
まとめ:迷ったらこの順で判断する
- ①土地の話か建物の話か:土地の抵当権は建物に及ばない(370条)。引渡猶予6か月は建物だけ(395条)。
- ②順位の話なら登記を見る:順位は登記の前後(373条)。順位の変更は登記が効力発生要件(374条2項)。
- ③主語が抵当権者か第三取得者か:代価弁済は抵当権者の請求(378条)、抵当権消滅請求は第三取得者から(379条)。債務者・保証人は請求できない(380条)。
- ④法定地上権は「設定時に同一所有者」から確認する:設定時に土地と建物が同一所有者であること、実行により所有者が分かれたことが条文上の要件(388条)。
- ⑤物上代位は差押えの時期:払渡し・引渡しの前に差し押さえる必要がある(372条・304条1項ただし書)。
ほかの一問一答・問題ページ
- 時効の問題(○×24問)取得時効10年/20年・消滅時効5年/10年・完成猶予と更新。抵当権の消滅時効(396条)ともつながります。
- 権利関係の一問一答(○×26問)抵当権を含む権利関係全体を横断演習。本試験の出題は14問(問1〜14)。
- 分野別 一問一答トップ(○×84問)宅建業法・権利関係・法令上の制限・税その他の4分野から選べます。
- 宅建 力試し(12問ミニテスト+50問の本番モード)今の実力を本試験形式でチェック。作った50問模試は印刷/PDF保存もできます。無料・登録不要。
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