← 賃貸不動産経営管理士トップへ

賃管士の出題範囲と対策

6分野の全体像と、宅建にない3分野をどう潰すか

PR 本ページはプロモーションが含まれています(記事内から講座の紹介ページへ移動できます)。

賃貸不動産経営管理士(賃管士)の出題範囲は、令和8年度の実施要領にイ〜ヘの6項目として示されています。市販のテキストは章立てがそれぞれ違いますが、公式の6項目に対応づけて考えるのが、いちばん迷いません。この記事では6分野を並べ、宅建受験者がどの順番で手をつければいいかを整理します。

0. 前提として確認しておく試験の形式

項目令和8年度(2026年度)
試験日時令和8年11月15日(日)13:00〜15:00(120分間)
出題形式四肢択一・50問(賃貸不動産経営管理士講習の修了者は45問)
法令の基準日令和8年4月1日現在で施行されている規定。統計データも同日時点の公表分
合格発表令和8年12月24日(木)(予定)

50問120分——宅建とまったく同じ形式・同じ時間です。1問あたり2分24秒という配分感覚は、宅建の直前期に体に入れたものがそのまま使えます。ここは併願者の隠れた強みです。

出典:賃貸不動産経営管理士協議会「令和8年度 賃貸不動産経営管理士試験実施要領」。

1. 6分野の全体像

公式の区分中身宅建受験者の負担
管理受託契約賃貸住宅管理業法13条・14条の書面、契約の性質、委託者との関係新規(型の感覚だけ流用可)
維持保全建物の構造、給排水・電気・ガス・換気・消防用設備、計画修繕、原状回復下地あり/量は多い
金銭の管理家賃・敷金・共益費の収納と分別管理(16条)、滞納対応、会計の基礎ほぼ新規
賃貸借民法の賃貸借、借地借家法の借家部分、定期建物賃貸借宅建の学習がそのまま効く
法に関する事項賃貸住宅管理業法そのもの(登録・業務管理者・サブリース規制)完全に新規/最大の山
管理の実務ほか賃貸経営、募集・広告、税金・保険、住宅セーフティネット等の周辺新規/5問免除の対象になりやすい領域

2. 着手の順番は「ホ → イ・ハ → ロ → ヘ」

宅建受験者に限って言えば、ニ(賃貸借)は後回しでかまいません。宅建の権利関係で仕上げた理解が残っているうちは、思い出す作業だけで済みます。時間を割くべきは、宅建で1文字も出てこなかった分野です。

① ホ(賃貸住宅管理業法)——最初に、いちばん厚く

賃管士における宅建業法にあたるのがここです。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)の骨格を、条文の順に押さえます。

見出し覚えどころ
2条定義「賃貸住宅」「賃貸住宅管理業」「特定賃貸借契約」「特定転貸事業者」。管理業=維持保全を行う業務+(それと併せて行う)金銭の管理
3条登録国土交通大臣の登録。国土交通省令で定める規模未満は不要。5年ごとの更新。更新申請中に期間が満了しても従前の登録は効力を持つ
10条・11条業務処理の原則/名義貸しの禁止宅建業法と同じ構造
12条業務管理者の選任営業所・事務所ごと。欠けた状態では管理受託契約を締結できない
13条・14条締結前/締結時の書面の交付宅建の35条・37条書面と対比して覚えると速い(ただし記載事項は別物)
15条・16条再委託の禁止/分別管理「一括再委託は不可」「家賃等は固有財産と分別」
17条〜21条証明書の携帯/帳簿/標識/定期報告/秘密保持20条の委託者(オーナー)への定期報告が実務の要
22条〜27条業務改善命令・登録の取消し等監督処分の流れ
28条・29条誇大広告等の禁止/不当な勧誘等の禁止サブリース規制。ここは条文の言い回しがそのまま肢になる
30条・31条特定賃貸借契約の締結前/締結時の書面の交付マスターリース側。13条・14条と混同させる出題がされやすい構造
32条書類の閲覧

混同注意。この法律には「管理受託(13条・14条)」と「サブリース=特定賃貸借(30条・31条)」という2系統の書面ルールがあります。宅建業法の35条・37条を1系統で覚えてきた人は、ここで必ず一度つまずきます。最初から2列の表にして並べて覚えるのが安全です。

② イ(管理受託契約)・ハ(金銭の管理)——ホとセットで

この2つは、ホの条文(13条・14条・16条)の内容を実務側から見たものです。ホと別々に勉強すると二度手間になります。条文を読むときに「この書面には何を書くのか」「この金銭はどう分けるのか」まで一緒に潰してください。

ハでは、宅建にない会計の基礎(発生主義など)や滞納督促の実務が問われます。ここは条文がないぶん、テキストの記述で覚えるしかない部分です。

③ ロ(維持保全)——量で殴られる分野

宅建の問50(建物)の延長ですが、設備が加わることで一気に量が増えます。給排水(受水槽方式・直結増圧方式など)、電気、ガス、換気、消防用設備、エレベーター、そして計画修繕・長期修繕計画。加えて原状回復が実務基準まで問われます。

ここは深追いすると際限がないので、用語と方式の名前を「見て分かる」レベルまで上げることを優先し、細部は後回しにするのが現実的です。

④ ニ(賃貸借)——宅建の記憶が消える前に一周

宅建で仕上げた民法の賃貸借・借地借家法の借家部分です。ただし賃管士では原状回復(民法621条)と敷金(622条の2)が実務運用まで踏み込まれる点だけは、宅建の知識のままでは足りません。定期建物賃貸借(借地借家法38条)も、宅建より細かく問われる前提で見直してください。

どの条文が重なっているかは、こちらで条文単位に分解しています。 → 宅建と賃貸不動産経営管理士はどこまで範囲が重なるか

⑤ ヘ(管理の実務ほか)——最後に、割り切って

賃貸経営、募集・広告、税金、保険、住宅セーフティネットなど周辺知識です。範囲が広く、費用対効果は高くありません。5問免除の対象になりやすい領域でもあるので、時間が足りない場合はここから削る判断が成り立ちます。

3. 5問免除(賃貸不動産経営管理士講習)をどう考えるか

賃貸不動産経営管理士講習を修了すると、修了年度とその翌年度の試験で50問のうち5問が免除され、45問受験になります。令和8年度の講習は令和8年7月15日(水)〜9月25日(金)に全国47都道府県135会場で実施され、内容はおおむね2週間の事前学習+スクーリング1日(9:00〜17:30)です。受講料と申込期間は実施団体ごとに異なります。

宅建との併願なら、免除を取らない判断も合理的です。講習の実施期間(〜9月25日)は宅建の直前期そのもので、事前学習2週間+丸1日を持っていかれます。宅建が本命なら、その時間を宅建に使い、賃管士は50問で受けるほうが総合的な期待値は高くなり得ます。逆に、宅建を先に取り終えている人・すでに実務で働いている人には、免除は素直に有利です。

出典:賃貸不動産経営管理士協議会「令和8年度 賃貸不動産経営管理士講習(試験の一部(5問)免除)」。受講料は実施団体ごとに異なるため金額は記載していません。各会場は定員に達し次第、先着で締め切られます。

4. 教材の選び方

賃管士は法令の基準日が令和8年4月1日と定められており、統計データも同日時点のものが出ます。つまり年度版のテキストを使うことが前提です。古い年度版は、賃貸住宅管理業法の運用が固まりきっていない時期の記述が残っていることがあり、そのまま使うと危険です。

協議会は書籍のご案内過去の試験問題一覧を公式サイトで公開しています。過去問は無料で手に入るので、まずここから出題の感触を確かめるのが最短です。

賃貸借(ニ)の土台は、結局のところ宅建の民法・借地借家法です。宅建GYMの一問一答なら無料でスマホから回せます。 → 宅建GYMで問題を解く(無料)
宅建にない3分野を独学で組み立てるのがきつい人へ。賃管士講座の回数・料金・宅建受験者向け割引を実測でまとめています。 → 賃管士|独学で走りきれないときの選択肢(講座)
宅建そのものの講座を比べたい人は、こちら。 → 宅建講座の選び方(5社比較)
このサイトの運営者が、賃貸住宅管理業法・借地借家法・民法の条文をe-Govの原文と照合してKindle本を作りました。テキストの隣に置いて、うろ覚えを潰すための要点ノートです(各章末に一問一答・全70問)。自分で作った教材です
賃貸不動産経営管理士 条文で確かめる要点ノート(Kindle・Kindle Unlimited対象)

この記事で参照した一次情報

賃貸不動産経営管理士協議会「令和8年度 賃貸不動産経営管理士試験実施要領」(試験日時・出題形式・出題範囲イ〜ヘ・法令基準日・合格発表日)/ 同「令和8年度 賃貸不動産経営管理士講習(試験の一部(5問)免除)」(日程・会場数・学習内容・修了要件)/ 同「過去の試験問題一覧」e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(2条・3条・10条〜21条・22条〜32条の見出しと本文)/ 同「民法」(621条・622条の2)/ 同「借地借家法」(38条)

※ 分野ごとの負担度や着手順は、宅建GYMが公表されている出題範囲から整理した学習上の目安であり、公式に定められたものではありません。当サイトは合格を保証するものではありません。本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。

公開: 最終更新: