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宅建の8種制限とは

自ら売主のときだけ効く8つの規制を、条文の本文つきで一覧に

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宅建業法には「8種制限」と呼ばれるひとまとまりの規制があります。条文にその見出しがあるわけではなく、33条の237条の2から43条までの8つをまとめた通称です。

この8つには共通点があります。働く場面が決まっていることです。出題では中身そのものより先に「そもそもこの規制が働く場面か」を判定させる作りになっていることが多く、場面判定を外すと、内容を正確に覚えていても答えが合いません。逆に言えば、場面判定と数字の対応さえ持っていれば、条文を隅から隅まで読み込まなくても処理できる範囲がある論点です。

そこでこの記事では、①どの場面で働くか → ②8つの一覧 → ③各規制の条文本文の順で並べました。条文は e-Gov法令検索の法令API から、令和8年度試験の法令基準日にあたる2026年4月1日時点で施行されている本則を取得しています(附則は含めていません)。引用は抜粋で、中略した箇所には「…」を入れています。

1. 場面判定:8種制限が働くのはどんなときか

8種制限が働くのは、次の3つがそろったときです。

3つ目の根拠が、適用除外を定めた78条2項です。8つの条文がそのまま名指しされています。

宅地建物取引業法78条2項第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。

つまり業者どうしの取引では8つとも適用されません。「売主も買主も業者である取引で、手付金等の保全措置を講じなかったのは違反である」といった肢は、内容の当否を検討する前に場面で切れます。

場面8種制限理由(出典=e-Gov法令検索・2026年4月1日時点)
業者が自ら売主/買主は業者でない働く33条の2・37条の2〜43条の本文どおり
業者が自ら売主/買主も業者働かない78条2項
業者が媒介・代理をしているだけ働かない各条が「自ら売主となる」場合を対象にしている
売主が業者でない(個人など)働かない同上

図1:4つの場面のうち、8種制限が働くのは一番上の行だけです。※出典=e-Gov法令検索(2026年4月1日時点の本則)。

この判定は、肢を読む順番に落とし込むと速くなります。

  1. 主語を探します。「Aは宅地建物取引業者である」に当たる一文が無ければ、8種制限の話ではありません。
  2. Aの立場を見ます。「自ら売主」か「媒介の依頼を受けた」かで結論が反転します。
  3. 買主を見ます。「Bも宅地建物取引業者である」と書いてあれば、78条2項でここまでです。
  4. 3つを通過してから、8日・2割・2年といった中身の当否に入ります。

図2:8種制限の肢を読む順番。※順番は筆者の整理で、条文の定めではありません。

混同しやすいところ:35条の重要事項説明や37条書面の交付は、8種制限ではありません。媒介・代理でも、相手が業者でも(35条は説明の省略について別の定めがあります)義務そのものは残ります。78条2項が名指ししているのは33条の2と37条の2〜43条だけで、そこに35条・37条は入っていません。

2. 8つの規制の一覧と、割合で決まる5つの上限

先に全体を並べます。丸暗記の対象になるのは、右列の数字と語です。前半4つが契約の入口にかかる規制です。

条文規制覚える要点(出典=e-Gov法令検索・2026年4月1日時点)
33条の2自己の所有に属しない物件の売買契約の制限取得契約を締結していれば可。ただし停止条件付きは不可
37条の2クーリング・オフ(事務所等以外でした買受けの申込みの撤回等)告げられた日から起算して8日/書面を発した時に効力
38条損害賠償額の予定等の制限予定と違約金の合算で代金の2割まで/超えた部分だけ無効
39条手付の額の制限等代金の2割まで/性質を問わず解約手付として扱う

図3:8種制限の前半4つ。出典=e-Gov法令検索(2026年4月1日時点の本則)。

後半4つは、引渡しや代金の受領にかかる規制です。

条文規制覚える要点(出典=e-Gov法令検索・2026年4月1日時点)
40条担保責任についての特約の制限買主に不利な特約は無効。例外は引渡しの日から2年以上の特約
41条・41条の2手付金等の保全措置未完成=5%以下かつ1000万円以下/完成=1割以下かつ1000万円以下なら不要
42条割賦販売の契約の解除等の制限30日以上の期間を定めて書面で催告
43条所有権留保等の禁止受領額が代金の3割を超えるまでに登記等をする

図4:8種制限の後半4つ。出典=同上(2026年4月1日時点の本則)。

8つのうち5つは「代金に対する割合」で線が引かれています。数字だけを覚えると条文と結びつかなくなるので、並べて見ておきます。

41条 未完成の保全免除5%
41条の2 完成の保全免除1割
38条 予定+違約金2割
39条 手付の額2割
43条 所有権留保の分岐3割

図5:代金に対する割合で線が引かれる5つ。バーは3割を100としたときの比です。出典=e-Gov法令検索(2026年4月1日時点の本則)。

小さいほうから5%・1割・2割・2割・3割の順です。※残る3つ(33条の2・37条の2・40条)は割合ではなく、条件・期間・日数で線が引かれています。

3. 自己の所有に属しない物件の売買契約の制限(33条の2)

いわゆる他人物売買の制限です。原則と例外が本文とただし書に分かれています。

宅地建物取引業法33条の2宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

ただし書の1号は「取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く)を締結しているとき」です。この括弧書きが出題のポイントで、停止条件付きの取得契約しか結んでいない場合は例外に当たりません。予約は含まれるのに停止条件付きは除かれる、という非対称をそのまま覚えるところです。

2号は、41条1項に規定する売買(工事完了前の物件の売買)で保全措置が講じられているときです。なお、他人物売買でも買主が宅建業者であれば78条2項でそもそも制限が外れます。

4. クーリング・オフ①:どこで申し込んだかで決まる(37条の2)

8種制限の中で最も分量があり、条件が多い規制です。まず「場所」から順に条文を見ます。

宅地建物取引業法37条の2第1項宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除…を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

まず場所です。「事務所等」以外で買受けの申込みをしたことが出発点で、「事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主」は括弧書きで除かれています。基準になるのは契約を結んだ場所ではなく、申込みをした場所です。

その「事務所等」の中身は施行規則16条の5にあります。専任の宅建士を置くべき案内所などのほか、次の場所が入っています。

宅地建物取引業法施行規則16条の5第2号当該宅地建物取引業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあつては、その相手方の自宅又は勤務する場所

ここは条件の向きに注意が要ります。買主の自宅や勤務先が「事務所等」になるのは、買主のほうから説明を受ける旨を申し出た場合です。業者が申出なしに訪ねてきた自宅で申込みをしたのであれば、その場所は事務所等に当たらないため、撤回等ができる側に振れます。

5. クーリング・オフ②:8日の起算と効力の発生(37条の2)

8日を数え始める条件

同項1号買受けの申込みをした者又は買主(以下この条において「申込者等」という。)が、国土交通省令・内閣府令の定めるところにより、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して八日を経過したとき。
同項2号申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つたとき。

1号の起算点は「告げられた日から起算して」です。告知は施行規則16条の6により、業者の商号・免許証番号や撤回等の方法などを記載した書面を交付して行うことになっています。書面で告げられていない間は、この8日のカウントは始まりません。2号は「引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払つた」ときで、どちらか一方では消えません。

効力の発生時期と、業者側の扱い

同条2項申込みの撤回等は、申込者等が前項前段の書面を発した時に、その効力を生ずる。
同条3項申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。
同条4項前三項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

効力は書面を発した時に生じます(到達した時ではありません)。8日目に投函し、業者に届いたのが10日目でも、期間内の撤回等として扱われます。業者は損害賠償や違約金を請求できず、受領した手付金その他の金銭は速やかに返還します。4項により、これらに反する特約で申込者等に不利なものは無効です。「クーリング・オフは7日以内とする」「解除には違約金を要する」といった特約は、この4項で落ちます。

状況撤回等ができるか根拠(出典=e-Gov法令検索・2026年4月1日時点)
買主が申し出た自宅で申込みできない規則16条の5第2号(事務所等に当たる)
業者側から訪ねてきた自宅で申込みできる同号の申出がない
喫茶店で申込み、後日ホテルで契約できる申込みの場所が事務所等以外
事務所で申込み、喫茶店で契約できない37条の2第1項の括弧書き
書面で告げられて8日目できる1号(8日を経過していない)
告げられないまま20日目できる1号の起算が始まっていない
引渡しを受けたが代金は一部未払いできる2号は引渡しと全額支払の両方が要件

図6:クーリング・オフの可否を、場所と期間の両面から並べたものです。※出典=e-Gov法令検索(2026年4月1日時点の本則)。

期間のほうは、次の順で動きます。

  1. 事務所等以外の場所で買受けの申込みをします。ここが出発点です。
  2. 業者が書面を交付して、撤回等ができる旨とその方法を告げます(施行規則16条の6)。この交付があって初めて8日が動き出します。
  3. 告げられた日から起算して8日以内に、買主が書面を発します。到達した時ではなく発した時に効力が生じます(37条の2第2項)。
  4. 業者は受領した手付金その他の金銭を速やかに返還します。損害賠償や違約金は請求できません(同条1項後段・3項)。

図7:8日のカウントが動き出してから、効力が生じて金銭が戻るまでの順番。出典=e-Gov法令検索(2026年4月1日時点の本則)。

6. 損害賠償額の予定等の制限(38条)

ここからは金額の上限を定める条文が続きます。まず38条です。

宅地建物取引業法38条1項宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
同条2項前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。

「損害賠償の額の予定」と「違約金」を合算した額が代金の2割を超える定めができない、という作りです。2項の効果も押さえどころで、超えた部分だけが無効になります。契約全体が無効になるわけでも、定め全部が無効になるわけでもありません。※以下は条文の数字を当てはめた計算例です。代金3000万円で違約金700万円と定めた場合、600万円までが有効で、100万円の部分が無効という扱いになります。

なお38条が制限しているのは「予定し、又は違約金を定めるとき」の額です。予定の定めを置かなかった場合について、38条は何も定めていません。「予定しなかったときは損害賠償を代金の2割までしか請求できない」という趣旨は、この条文からは出てきません。

7. 手付の額の制限と手付解除(39条)

39条は、額の上限と手付の性質の両方を定めています。3項まで通して読みます。

宅地建物取引業法39条1項宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
同条2項宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
同条3項前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。

1項が額の制限(代金の2割まで)、2項が性質の制限です。2項は「その手付がいかなる性質のものであつても」と書いていて、証約手付や違約手付のつもりで授受されたものも、解約手付として扱われます

解除の方法にも条文どおりの言い回しがあります。買主は放棄、業者は倍額を現実に提供して解除します。「倍額を償還する旨を通知すれば足りる」は現実の提供を欠くので誤りです。そして相手方が履行に着手した後はできません。自分が着手していても、相手が着手していなければ、まだ解除できる側にいます。3項により、買主に不利な特約は無効です。

ここまでで「代金の2割」が2回出てきました。同じ数字でも、かかる対象と超えたときの扱いが違います。

比べる点38条(損害賠償の予定等)39条(手付の額)
2割がかかる対象予定額と違約金を合算した額受領する手付の額
超えたときの扱い超えた部分だけが無効(2項)超える額を受領できない(1項)
定めが無いとき38条は何も定めていない手付を受領すれば2項が働く
特約の制限1項に反する定めは2項で一部無効買主に不利な特約は無効(3項)

図8:同じ「代金の2割」でも38条と39条では別物です。出典=e-Gov法令検索(2026年4月1日時点の本則)。

8. 契約不適合責任の特約の制限(40条)

1項は一文が長い条文です。原則と例外の位置を先に押さえてから読みます。

宅地建物取引業法40条1項宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

原則は「民法566条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない」で、例外が「その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合」です。起算点は引渡しの日で、契約の日ではありません。「契約締結の日から2年」は起算点がずれるので、この例外に乗りません。

また2項により、反する特約は無効です。無効になった結果、民法の原則(不適合を知った時から1年以内の通知)に戻ります。「特約が無効なら責任を負わない」ではありません。

9. 手付金等の保全措置(41条・41条の2)

ここは「未完成物件か、完成物件か」で条文が分かれ、免除される額も変わります。まず、保全が要らなくなる場合の条文を並べます。

宅地建物取引業法41条1項ただし書ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の百分の五以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
同法41条の2第1項ただし書ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の十分の一以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。

41条(工事完了前=未完成物件)が百分の五以下、41条の2(それ以外=完成物件)が十分の一以下です。どちらにも「かつ、…政令で定める額以下であるとき」が付いていて、その政令の額はこれです。

宅地建物取引業法施行令3条の5法第四十一条第一項ただし書及び第四十一条の二第一項ただし書の政令で定める額は、千万円とする。
区分保全措置が不要になる額(出典=e-Gov法令検索・2026年4月1日時点)取れる措置
工事完了前(未完成)代金の5%以下かつ1000万円以下保証委託契約/保証保険契約
工事完了後(完成)代金の10%以下かつ1000万円以下上の2つ+指定保管機関への保管(手付金等寄託契約と質権設定契約)

図9:保全措置が要らなくなる額と、要るときに取れる措置。完成物件だけ指定保管機関を使えます。

2つの数字はかつで結ばれています。※次も条文の数字を当てはめた計算例です。代金1億円の未完成物件で手付金600万円なら、1000万円以下ではあっても5%(500万円)を超えているので保全が要ります。

額の判定に使う「手付金等」は、41条1項の括弧書きで定義されています。代金に充当されるもので、契約の締結の日以後、引渡し前に支払われるものです。契約前に受け取る申込証拠金でも、契約締結後に代金へ充当されるなら手付金等として算入されます。また、既に受領した分があるときはその額を加えた額で判定します(同じくただし書の括弧書き)。

ただし書の先頭には、額とは別の免除事由も書かれています。買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたときです。この場合は額にかかわらず保全が不要になります。

10. 割賦販売の解除等の制限(42条)と所有権留保等の禁止(43条)

残る2つは分量が少なく、覚える数字も2つだけです。

宅地建物取引業法42条1項宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の割賦販売の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合においては、三十日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除し、又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することができない。

30日以上の相当の期間を定めて、書面で催告することが要件です。口頭の催告や、7日を定めた催告では、遅滞を理由とする解除も期限未到来分の請求もできません。2項により、これに反する特約は無効です。

宅地建物取引業法43条1項宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあつては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。
同条2項宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合において、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。

ここでの数字は代金の3割です。引渡しまでに3割を超える支払を受けていない場合は、3割を超える支払を受けるまでに登記その他の義務を履行すればよい、という作りになっています。2項は、引渡し後に3割超を受領した後の担保目的での譲受けを禁止しています。

11. 直前期の確認(○×)

答えは自分で判断してから開いてください。開くまで表示は変わりません。

① 業者Aが自ら売主、業者Bが買主の売買で、Aは手付金等の保全措置を講じなければならない。
 78条2項により、業者相互間の取引には41条・41条の2は適用されません。場面で切れる肢です。
② 買主が自宅で説明を受けたいと申し出て、その自宅で買受けの申込みをした場合、買主はクーリング・オフができる。
 施行規則16条の5第2号により、申出があった買主の自宅は「事務所等」に当たります。申出がない訪問先であれば結論は逆になります。
③ 代金4000万円の売買で、損害賠償の予定額600万円と違約金300万円を定めた。この定めは全部無効である。
 ※金額は設例です。合算900万円のうち、2割(800万円)を超える100万円の部分だけが無効です(38条2項)。全部が無効になるわけではありません。無効になるのは超過分だけ、という2項の効果をそのまま聞いています。
④ 業者が自ら売主となる売買で、手付を受領した業者は、買主が履行に着手していれば、手付の倍額を現実に提供して解除できる。
 39条2項ただし書は「その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」です。業者から見た相手方=買主が着手していれば、業者は解除できません。
⑤ 契約不適合責任について「引渡しの日から2年間」とする特約は、40条に違反しない。
 40条1項の例外は「引渡しの日から二年以上となる特約」です。ちょうど2年もこれに含まれます。起算点が契約の日だと例外に乗りません。
⑥ 代金5000万円の未完成物件で、手付金250万円を受領するとき、保全措置は不要である。
 ※金額は設例です。41条1項ただし書の5%(250万円)以下で、かつ施行令3条の5の1000万円以下です。ただし「250万円以下」なので、251万円になると保全が要ります。
宅建業法は同じ論点が形を変えて何度も出ます。宅建業法の一問一答(○×形式・無料)で、8種制限まわりの肢を場面判定から確かめられます。クーリング・オフだけを集中的に回すならクーリング・オフの一問一答もあります。

まとめ

条文の数字は、この記事のように条番号とセットで並べておくと、直前期に短時間で見直せます。数字だけを覚えると、どの条文の数字だったかが混ざりやすくなります。

次にやること(1つだけ):この記事を閉じたら、宅建業法の一問一答を10問だけ解いてみてください。図2の順番(主語 → 立場 → 買主)で読めているかが、その場で分かります。

出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(法令ID 327AC1000000176)。あわせて同「宅地建物取引業法施行令」(339CO0000000383)。および同「宅地建物取引業法施行規則」(332M50004000012)。いずれも法令API v2 から asof=2026-04-01(令和8年度試験の法令基準日)で取得し、附則を除いた本則から引用しています。引用は抜粋で、中略には「…」を入れています。条文の解釈にあたる部分は筆者の整理で、試験での取り扱いを保証するものではありません。

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